相撲  


上の表は、今場所(2000年9月場所)大関に昇進した魁皇の、昇進直前12場所(1998年9月〜2000年7月、15日×12場所)の成績を分析したものです。表は、たとえば、ある日が白星だと、次の日白星になる確率は0.64ということを示しています。 相撲では、前日の結果がその日の勝負に影響を与えていそうです。いわゆる波というやつです。 魁皇は連敗ぐせがある力士で、それがなかなか大関になれない原因でした。 実際、上の表を見ると、ある日が黒星だったら、次の日黒星になる確率は0.40です。昇進直前12場所の成績は114勝66敗、勝率 .633 で、 全体で見た負ける確率が0.367なので、やはり少し高いと言えます。

この統計的確率を使って、今場所の魁皇を占ってみましょう。(といっても、もう今日千秋楽ですが)。

(1)ある日が白星のとき、その2日後に白星になる確率
(2)ある日が白星のとき、その4日後に白星になる確率
(3)初日が白星のとき、千秋楽が白星になる確率

を考えてみます。

(1)ある日が白星のとき、その2日後に白星になる確率

とりあえず、こういうときに役に立つのは樹形図です。答えは
0.4096+0.216=0.6256 です。


(2)ある日が白星のとき、その4日後に白星になる確率

これは樹形図を伸ばしていくこともできます。 しかし、次の問題が14日後というところを見ると、何かここでいい方法を見つけなくてはいけないようです。そこで出てくるのが「漸化式(ぜんかしき)」というものです。 (漸というのは「徐々に」という意味です。漸近、漸増とかの漸です。) 高校の頃やったかと思いますが、むずかしかったという印象がある方も多いかもしれません。こういうときに巨大で複雑な樹形図をかかなくてすむようにするのが漸化式です。

いま、ある日の n 日後○の確率を pn とします。 まず、 n+1 日後に○というのは「n 日後○でn+1 日後に○」または「n 日後●でn+1 日後に○」の2通りしかありません。 ということは、 n+1 日後○の確率 pn+1 は、「n 日後○(pn)で次の日○(0.64)」 あるいは 「n 日後●(1-pn)で次の日○(0.60)」 と考えて、
pn+1 = pn・0.64+ (1-pn)・0.6 です。この漸化式を解きます。

pn+1 = 0.64pn+ 0.6(1-pn)
pn+1 = 0.04pn+ 0.6
pn+1 - 0.625 = 0.04 (pn - 0.625 )
よって
pn - 0.625 = (p0 - 0.625 )(0.04)n
p0 = 1 より
pn - 0.625 = 0.375 (0.04)n
pn = 0.375 (0.04)n + 0.625

よって p4 = 0.375 (0.04)4 + 0.625 = 0.625

(3)初日が白星のとき、千秋楽が白星になる確率

p14 = 0.375 (0.04)14 + 0.625 = 0.625


平成大相撲記録
http://202.35.250.131/suzuki/


◆参考文献
岡部恒治『ビジネスマンのための数学入門』