今回は確率論の基本の基本である「順列と組み合せ」です。
さて、そもそも確率の定義というのは
ということです。なので本来、「個数の処理」というのが確率論の基本にあるわけです。
そして、個数の処理を簡単にするために使うのが
「!」とか「P」とか「C」という記号です。
◆まず「!」。エクスクラメーションマーク(exclamation mark)です。
1からnまでの正の整数の積を n の階乗といい、n!で表します。
たとえば「タンポポの4人のメンバーの並び方」を考えてみましょう。
「乙女、パスタに感動」では通常、左から石川、加護、矢口、飯田と並ぶことになっていますが、
並び方はいろいろあります。
これは
「積の法則」により「4×3×2×1=24通り」です。
そしてこれをスマートに書きたいので、「!」を使って、「4!通り」とします。
積の法則とは
「Aとなる場合が a 通り、Bとなる場合が b 通りあるとき、
AにつづいてBとなる場合の数は a×b 通り」というものです。
よって「1が4通り、つづく2が3通り、つづく3が2通り、つづく4が1通り」
と考え4×3×2×1=24通りということです。
(左から4本の枝が3倍、2倍、1倍に分裂していく。)
◆次に「P」。これは permutation のPで、順列を表す記号です。
「n個のものからr個とって左右に1列に並べる」といったとき、
このように並べたものを「異なるn個のものからr個とった順列」といいます。
順列の総数は nPr と表されます。
「モーニング娘10人から、3人をとって、左から1列に並べる」というのを考えるときがこれです。積の法則により、
いちばん左が10通り、つぎが9通り、つぎが8通りと考え
10×9×8=720通りです。
これをスマートに書くとき、「10P3通り」とします。
順列の総数 nPr = n(n-1)(n-2)……(n-r+1)
◆そして「C」。combination のCで、組み合せを表す記号です。
「n個のものからr個とった組」を、「n個のものからr個とる組み合せ」といい、 その総数を
nCrで表します。
「モーニング娘10人から3人組の新ユニットをつくろう」というときがこれです。
組み合せは10C3通りです。
そして 10C3=10P3 / 3 !
になります。これはつぎのようにしてわかります。
10人から3人をとる順列の総数は10P3です。
これを「まず10人から3人取り出すことを考え→次にその3人を並べかえる」
と考えます。第1段階の「10人から3人を取り出す取り出しかた」を x とします。
次の「取り出した3人の並べ方」は 3 ! 通りです。
よって合わせて x × (3 !) 。
10P3=x × (3 !)
となり、
x =10P3 / 3 !
です。
10C3
=10P3 / 3 !
= 720/6
= 120
いろいろ考えてみると楽しいです。
★ロト6 2000年10月
先日、新しい宝くじ「ロト6」が発売されました。
1から43までの数字の中から異なる6つの数字を選び、抽選した数字といくつ一致したかで1等から5等までの順位が決定します。1口は200円。
第1回の抽選で選ばれた数字は「03, 08, 10, 13, 27, 30」で、1等は約4500万円だったそうです。
「1から43までの数字の中から異なる6つの数字を選ぶ」選び方は
N =43C6
= 43 ! / (6 ! 37 !)
= 43・42・41・40・39・38 / 6・5・4・3・2・1
= 4389446880 / 720
= 6,096,454 (通り)
1等はそのうちの a=1 (通り)。6つの数字がすべて一致する場合です。
確率の定義
に従い、1口買った場合、1等が当たる確率 P(A)は
P(A) = a/N = 1 / 6096454
です。
第1回の発売では約11億8000万円が売れたそうです。
口数にすると、1,180,000,000 / 200 = 5,900,000 口。
ということは、すべてばらばらのものが買われたとしても、
6,096,454 (通り)に届かなかったわけです。
あまりにも組み合せ数が多いので、当選者がいないということもありえます。
そこで、当選者がいない順位の賞金は次回の1等賞に繰り越す「キャリーオーバー」
が初めて採用されています。
★3連複馬券 2000年11月
先日(2000/11/16)、JRAが2002年からの馬単および3連複馬券の導入を発表しました。
18頭立ての場合、3連複は
18C3 = (18*17*16)/(3*2*1) = 816 通り
です。
馬連(153通り)の約5.3倍当たりにくくなります。よって平均配当も馬連の5.3倍になります。
馬連の平均配当がだいたい5000円弱ということなので、25000円ぐらいですか。
うーん、すごいですね。
でも流しで買うとすると13600円(17C2通り)かかる計算になりますね・・・。
◆組合せの公式はつぎのような形にするとおぼえやすいです。
たとえば
10P3 = 10*9*8 = 10*9*8*7*6*5*4*3*2*1 / 7*6*5*4*3*2*1 = 10!/ 7!
とかけるので
10C3 = 10P3 / 3! = (10!/ 7!) / 3!
= 10! / 7!3!
です。
一般的には
となります。
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