ゲーム理論の創始者は、ジョン・フォン・ノイマンという科学者です。ノイマンは大変な天才で、いろんな分野で活躍しました。
化学、数学、論理学、量子力学、コンピュータ学などさまざまです。
しかも、それぞれの分野で歴史に残る業績をあげています。
なかでも「ノイマン型コンピュータ」と「マンハッタン計画」がもっとも有名です。
現在わたしたちが使っているコンピュータは「ノイマン型」とよばれるものです。
ノイマン型コンピュータの最大の特徴は「逐次処理」というもので、
これは「一度にひとつのことしかできない」ということです。
このコンピュータの基本的な構造は半世紀たっても変わっていません。
ノイマンはコンピュータを完成した後、アメリカの核開発(マンハッタン計画)の中心人物になりました。
彼は、核爆弾でソ連を滅ぼすことが平和への鍵であると信じていました。
彼がガンで早死にしたのは、原爆実験で被爆したから、というのが定説になっています。
また、ノイマンはキューブリックの「博士の異常な愛情」の主人公のモデルにもなっています。
★核戦争のシナリオ 2000年8月
最近、冷戦下のある機密文書が機密解除になり、話題になりました。
東西冷戦下の1963年、米国家安全保障会議(NSC)がソ連との核戦争のシナリオともいえる機密文書「ソ連との戦争における管理と集結」を作成、核戦争は開始後一日で停戦が実現するが、米国の犠牲者は最大で一億五千万人に上ると予測していたことが明らかになったのです。
ケース1ではソ連の不意打ち核攻撃、ケース2では米国の核先制使用を想定していました。
ケース1では、人口約二億人の米国の犠牲者は最大一億五千万人で、ケース2の核先制使
用のほうが損害は小さいと指摘していたのです。
★米中の危険なゲーム 2001年3月
日経の「ニュース複眼」からです。チキンジレンマです。
2001/03/27
<米中の危険なゲーム>
コンクリートの壁に向かって二台の車を猛スピードで走らせる。恐怖心にかられ、先にブレーキを踏んだ方が負け。命は惜しい。だが、ミエやプライドも捨てがたい。「ひょっとしたら」という気持ちを抑えながら、さらにアクセルを踏み込む――。
台湾を巡る米国と中国の綱引きは、向こう見ずな若者の間で昔から行われてきた、こんな危険なゲームに似てきた。
(中略)
経済面での交流を中心に二国間関係を安定的に発展させたいという実利ベースの思惑では米中双方とも一致している。一方で、二十一世紀を代表する主要国家として「威信」や
「尊厳」を守るため、両国はアクセルを踏み続ける必要性を感じ、ブレーキに足をかけるそぶりも見せない。
青春映画では若者のどちらかが何らかのきっかけで正気に戻り、壁の直前で双方ともブレーキを踏む。ブッシュ政権は来月にもイージス売却問題で最終決定を下す予定だ。壁は目前に迫る。だが、今回の首脳会談が双方にブレーキを踏ませるきっかけになったかどうかは、まだわからない。
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ノイマン(Johann Ludwig von Neumann)
ハンガリー生まれのアメリカの数学者(1903−1957)。プリンストン高等研究所教授を経て同計算機研究室長。空間論を発展させて量子力学の基礎づけをしたほか、連続幾何学・群などについて研究。ゲームの理論の研究やオペレーションズリサーチなど、数理経済学の創始とコンピュータ理論の発展に尽力。
博士の異常な愛情(Dr. STRANGELOVE) 冷戦下の米ソ核競争。アメリカ戦略空軍基地の司令官が発狂、ソ連攻撃の命令で爆撃機が出発。一方ソ連には水爆攻撃に自動的に対抗する人類滅亡爆弾が。両国首脳はホットラインで協議するが通信系統の故障で1機引き返さず任務遂行。不気味な作戦室でストレンジラブ博士が人類の存在について演説する。('64 英=米)
◆参考文献
- 『痛快!コンピュータ学』
坂村健、集英社インターナショナル、1999年
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