タイム・リミット


「♪ 仮に何事にも終わりが訪れるとしたら 尚更「今」を愛せる気がするよ」。 今回は最終期限のある交渉を考えます。

アイとノノがアイスクリームを分け合おうとしています。 アイスクリームの全体を100として、 ゲームの構造はつぎのようになっています。

第1段階 まずアイが全体100のうち自分の取り分を提案します。もしノノがそれを受け入れればゲームは終わりです。もしノノがそれを拒否すればゲームは第2段階に進みます。

第2段階 ここでアイスは溶けて90になっています。こんどはノノが90のうち自分の取り分を提案します。もしアイがそれを受け入れればゲームは終わりです。もしアイがそれを拒否すれば、アイスは全部第三者のマリに持っていかれます。

このゲームはどんな結果になるでしょう。 これはゲームの後ろから考えます。 ゲームが第2段階に到達したとしましょう。 するとノノはほとんど90を提案します。 そしてアイはほとんど0というのを受け入れざるをえません。 なぜならアイはこれを拒否すると自分の取り分は0になってしまい、 0よりもほとんど0のほうがよいからです。 ノノは事実上90が取れます。 アイは事実上0です。

そこでアイはゲームを第2段階に突入させるのはマズいと考えます。 したがって第1段階でなんとかノノに納得してもらえる分を提案することになります。 ではノノが納得する量というのはどれだけでしょう?これは90です。 なぜならノノは90より少なければ断って第2段階に行くからです。 そこでアイは第1段階で自分の取り分として10を提案することになります。

けっきょく第1段階で アイが自分の取り分10を提案し、ノノがこれを受け入れて ゲームは終了します。


◆参考文献

  • 『経営戦略のゲーム理論―交渉・契約・入札の戦略分析』 
    ジョン・マクミラン、有斐閣、1995年 
    GAMES, STRATEGIES, & MANAGERS (1992)