王様のアイデア |
王様の前に2人の女と1人の赤ん坊がいます。
女はともに赤ん坊を自分の子であると主張。
王様はどうやって本当の母親を見分ければいいでしょうか。
つぎの方法がうまくいくことを確認してみましょう。 2人の女をカナとベッキーとします。 方法 1. まず王様はカナに尋ねる。「お前の子か?」。カナが「いいえ」と言った場合、赤ん坊はベッキーのところへ行く。ゲームは終了する。カナが「はい」と言った場合、2へ進む。 2. 王様はベッキーに尋ねる。「カナの子だと認めるか?」。ベッキーが「はい」と言った場合、赤ん坊はカナのところへ行く。ゲームは終了する。ベッキーが「いいえ」と言った場合、3へ進む。 3. 王様はこう言う。「よしわかった。ベッキー、お前は赤ん坊にいくら払うかこの紙に書け。カナ、お前はFだけわたしに払え」。(Fは王様が設定する罰金または手数料)。ベッキーは入札額Bを記入し、カナはFを支払う。 王様はベッキーの入札額Bをカナに知らせる。そしてカナへこう提案する。「わたしにBだけ払えば赤ん坊はお前のものだ」。カナがこれを受け入れた場合、王様はBと交換に赤ん坊をカナへ渡す。同時にベッキーは王様へ罰金Fを払う。カナがこれを拒否した場合、王様はBと交換に赤ん坊をベッキーへ渡す。 ゲームは下のツリーで表されます。 王様はあらかじめこういう方法(ルール)で赤ん坊の行き先を決めるとカナとベッキーに言っておきます。 CAはKANAの赤ん坊の評価額、CBはBECKYの赤ん坊の評価額です。 |
ではほんとうにこれでうまくいくのか確かめてみましょう。 まずはカナが本当の母親だった場合です。 |
偽の母親であるベッキーのところに注目してください。
ベッキーは「いいえ」を選ばないことがつぎのようにしてわかります。
ベッキーが赤ん坊をゲットできるのはカナがつぎに「いいえ」を選ぶときです。
しかしカナが「いいえ」を選ぶには CA-B-F<-F すなわち
CA<B でなければいけません。
これはベッキーがカナの評価額を上回る額を入札しなければいけないことを意味しています。
ところがいま CA>CB と考えるのは自然です
(本当の母親の評価額のほうが偽の母親の評価額より大きい)。
なのでBはCBより大きくなければいけないことになります。
ベッキーは自分の評価額を上回る額を入札して何かいいことがあるでしょうか。
ないです。
カナにこうして「いいえ」を選ばせたところでベッキーの利得はマイナスになります。
だったら入札しないほうがいいです。
こうしてベッキーは入札しないことがわかります。
ベッキーは「いいえ」を選びません。
ベッキーは赤ん坊がカナの子だと認めます。 これは緑色の線で示されています。 一歩前に戻ってカナの判断を考えます。 カナはCAと0を比較します。 明らかに CA>0 です。 カナは赤ん坊が自分の子であると主張します。 これも緑色の線で示されています。 けっきょくゲームは「はい」→「はい」の経路をたどります。 赤ん坊はめでたくカナのところへ行きます。
つぎにベッキーが本当の母親だった場合です。 |