いろんな情報を総合すると、どうやら太平洋戦争はゲーム理論が初めて実地に応用された戦争だったようです。
第2次世界大戦で、アメリカの数学者たちは戦略の立案を依頼されましたが、
そのときはすでにノイマンのゲーム理論は知られており、
戦争の問題にゲーム理論が関係していることは明らかでした。
またノイマン自身も原爆の投下地選定に関わっていました。
第2次世界大戦は爆撃機の大群が空から市民を襲うという新しい戦争でした。
いま仮に「いつ」「どこが」空襲されるかわかっているとしましょう。
このとき、その日時・場所に戦力を移動させれば、被害を最小にすることができるでしょう。
でも実際にはいつどこで空襲が行われるかはわかりません。
これはじゃんけんやテニスの駆け引きと同じ話になります。
太平洋戦争のターニングポイントとなったミッドウェー海戦では
暗号解読が勝負の決め手になりました。
日本軍の攻撃目標がミッドウェー(暗号:AF)であることを見破った
太平洋艦隊司令長官ニミッツはミッドウェーに戦力を集中させました。
戦力で上回っていた日本軍は敗れました。
これは下位打者に球種を見破られてホームランを打たれたのと同じです。
太平洋戦争で具体的にどうゲーム理論が利用されたのかはわかりませんが、
戦略立案者が紙の上でそういうことを考えたことがあるか否かというのは
きっと重要な違いになったでしょう。
◆第2次世界大戦に関するドキュメンタリー
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市民の20世紀(26回シリーズ) 第10回 引き裂かれた平和 第2次世界大戦(BBC/WGBH、1995年)
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