社会的余剰


キャンディーの取引をふたたび考えます。 今回から少しの間、なぜ需要曲線と供給曲線によって囲まれた部分(大きな三角形)の面積がパイの大きさを表すのかを説明します。

これを理解するのは非常に骨が折れることですが、 この手法はあらゆる政策分析で使われるものです。 圧倒的にコストパフォーマンスがいいことを保証します。


まず全体のパイは 消費者のパイと生産者のパイ に分けることができます。

いま直線 p=1(均衡価格)を描きいれます。 すると水色の部分が消費者のパイ、 桃色の部分が生産者のパイになるのです。 (理由は次回以降説明します。)

ここで消費者のパイを消費者余剰(Consumers' Surplus)、 生産者のパイを生産者余剰(Producers' Surplus)、 2つを合わせた全体のパイを社会的余剰*(Social Surplus)といいます。 まずはこれだけおぼえておいてください。


*社会的余剰・・・今後の議論ではこれを他に 「総余剰 Total Surplus」「社会厚生 Social Welfare」 「Social Gain」「効率性 Economic Efficiency」 と言ったりします。 また「消費者余剰と生産者余剰の和」の意味だけでなく、 「税収」などをこれに加えたり「外部費用」などをこれから引いたりしたもの も 社会的余剰と言います。 とにかく「全体のパイ」のことを意味します。